2025-07-15
広島市中区、上八丁堀。オフィスビルやマンションが立ち並ぶこの街の一角で、私たちは先日、一つの「宝物」に出会いました。
ご依頼は、お母様が遺されたお部屋の片付け、いわゆる遺品整理でした。
「古いものが多くて、何が価値があるのかさっぱりで…」とお客様は少し困ったような、寂しいような表情でお話しくださいました。
衣類や食器、思い出の品々を一つひとつ丁寧に確認していく中、裁縫道具が収められた古い木箱の中から、そのハサミは現れました。
ずっしりとした重み。金色に鈍く輝く、手に馴染むよう計算された曲線を描くハンドル。そして、使い込まれていながらも、鋭い光を失わない刃。
それは、文房具店で売られているような一般的なハサミとは明らかに違う、プロの職人が使う道具だけが持つ独特のオーラを放っていました。
「これも、もう誰も使わないから捨てようかと思ってたんです」
お客様はそうおっしゃいましたが、私たちはそのハサミが持つ本当の価値を見逃しませんでした。
一見、ただの「古いハサミ」。しかし、その背景には確かな技術と歴史、そして持ち主の想いが宿っていたのです。
この出会いが、最終的に6,300円という高価買取に繋がることになります。
項目 | 内容 |
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訪問日 | 2025-07-15 |
立地 | 広島市中区 上八丁堀・築30年の分譲マンション 5階 |
駐車 | 建物前コインP(30分¥300)を利用 |
査定場所 | リビングルーム(自然光+LEDライトで刃の状態を確認) |
所要時間 | 遺品整理全体で約3時間、裁ち鋏査定は約15分 |
項目 | 内容 |
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ブランド | DIAWOOD(ダイヤウッド)製 |
品名 | 裁ち鋏(洋裁鋏) |
刃の素材 | HIGH SPEED刻印(ハイス鋼) |
全長 | 約26cm |
重量 | 約280g |
製造元 | 株式会社石田製作所 |
付属品 | 革製ケース(経年劣化あり) |
お客様の木箱から現れたのは、知る人ぞ知る、プロ御用達の逸品でした。
DIAWOODは、刃物の製造で知られる株式会社石田製作所が手がけるブランドです。特に洋裁や和裁の世界では、その確かな品質で多くのプロフェッショナルから長年にわたり絶大な信頼を寄せられています。
この鋏の価値を決定づける最大のポイントが、刃に刻まれた**「HIGH SPEED」の文字**。これは、刃の素材が「ハイス鋼(高速度鋼)」であることを示しています。
ハイス鋼は、一般的な鋼に希少な金属(タングステン、モリブデン、クロムなど)を混ぜ合わせた特殊な合金鋼です。
もともとは金属を高速で削るための工業用ドリルなどに使われる素材で、その特徴はなんといっても**「圧倒的な硬度」と「優れた耐摩耗性」**にあります。
このハイス鋼を刃に使うことで、布のような柔らかい素材を切る際にも、その切れ味が驚くほど長く持続するのです。
厚手のデニムや革さえも、刃がぶれることなくスーッと切り進むことができる。まさに、日々大量の布を裁断するプロの仕事を支えるために作られた、特別な一丁と言えるでしょう。
では、なぜこの一見「古いハサミ」に6,300円という価値がついたのか。私たちが査定の際にどこを見ているのか、その核心部分を具体的にお話しします。
まず、査定額の大部分を占めるのが、この「ブランド」と「素材」という絶対的な価値です。
DIAWOODという信頼性、そしてハイス鋼という高性能な素材。これらは中古市場でも非常に人気が高く、需要が安定しています。
この揺るぎない土台があるからこそ、私たちは自信を持って高い基準額を設定することができるのです。
次に、道具の命である「刃」を細かく見ていきます。お客様は刃の先端に欠けがないか(刃こぼれ)を気にされることが多いですが、プロの査定はそれだけではありません。
鋏は、2枚の刃が「点」で交わりながら進むことで布を切ります。この2枚の刃の噛み合わせが非常に重要で、長年の使用で歪みが生じることがあります。光に透かして隙間がないか、開閉した時にスムーズに刃が擦り合うかを確認します。
刃の裏側は、実はわずかに窪んでいます(裏スキ)。この窪みがあることで、切れ味が鋭くなり、切った布が刃に張り付くのを防ぎます。この裏スキが研ぎすぎなどで失われていないかも、切れ味を左右する重要なチェック項目です。
今回のお品物は、これらの「合わせ」も「裏スキ」も非常に良好な状態でした。
最後に、鋏全体の「骨格」とも言える部分をチェックします。
2枚の刃を繋ぐ中心のネジです。このネジが緩すぎても固すぎても、最適な切れ味は得られません。ネジが固着して動かない、あるいは摩耗して緩んでいる、といったことがないかを確認します。
真鍮製のハンドルは、その適度な重みが裁断時の安定感に繋がります。刃との接合部にガタつきがないか、大きな歪みや傷がないかをチェックします。
この鋏は、要ネジの機能も正常で、ハンドルにも大きなダメージはありませんでした。まさに「全身の状態が良い」と判断できる逸品だったのです。
評価項目 | 内容 | 加減額 |
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ブランド・素材 | DIAWOOD製・ハイス鋼 基準価格 | ¥5,000 |
刃の状態 | 刃こぼれなし・合わせ良好・裏スキ残存 | +¥1,000 |
機構部分 | 要ネジ正常・ハンドル良好 | +¥500 |
付属品 | 革製ケース付き | +¥300 |
経年劣化 | 全体的な使用感・ケース劣化 | -¥500 |
最終査定額 | ¥6,300でご提示 → 即決 | 確定 |
査定額をお伝えした際のお客様の、驚きと喜びに満ちた表情は、今でも忘れられません。
「えっ、本当に?ただの古いハサミだと思っていたのに、そんな値段になるなんて…。正直、処分費用がかからなければ良いなくらいに考えていました」
少し間を置いてから、お客様は懐かしむように続けられました。
「母は昔、この上八丁堀の家で近所の方に洋裁を教えていて、このハサミは一番のお気に入りでした。『これだけは切れ味が違うんよ』と、いつも大切に手入れをしていたのを覚えています。価値をきちんと見つけてもらえて、きっと母も空の上で喜んでいると思います。本当に、捨てなくてよかったです」
お母様が大切にされていた道具が、私たちの査定を通して再びその価値を認められ、お客様の笑顔に繋がったこと。これこそが、私たちの仕事の最大の喜びです。
広島市中区上八丁堀は、オフィス街でありながら住宅地としても発展してきた複合的なエリアです。古くから住まれている方も多く、遺品整理のご依頼も少なくありません。
市内中心部に位置し、出張査定に伺いやすい立地です。コインパーキングも充実しており、査定業務もスムーズに行えます。
築年数のあるマンションも多く、長年大切に使われてきた品物や、価値ある専門道具が眠っていることが多いエリアです。
専門道具は、一般的な家庭用品とは異なり、プロフェッショナルが使用することを前提に作られています。そのため、信頼できるメーカーやブランドの製品は、中古市場でも高い価値を持ちます。
特に刃物類では、使用されている鋼材の種類が価値を大きく左右します。ハイス鋼、白紙鋼、青紙鋼など、それぞれに特徴があり、用途に応じて使い分けられています。
専門道具は、適切にメンテナンスされていれば長期間使用できる設計になっています。そのため、保存状態の良し悪しが査定額に大きく影響します。
鉋(かんな)、鑿(のみ)、鋸(のこぎり)など、職人が使用していた道具は高い価値を持つことがあります。
竿、リール、ルアーなど、特に有名メーカーの製品は中古市場でも人気があります。
硯、筆、墨など、書道に使用される道具も価値のあるものが多くあります。
茶碗、茶筅、茶杓など、茶道に関連する道具は伝統的な価値があります。
フィルムカメラ、レンズ、アンプ、スピーカーなど、アナログ機器は愛好家に人気があります。
今回の裁ち鋏のように、ご自宅の押し入れや物置に眠っている専門的な道具は、決して少なくありません。
持ち主にとっては「もう使わない古いもの」でも、その価値を知る人が見れば、喉から手が出るほど欲しい「お宝」である可能性は十分にあります。
その価値を、ご自身で判断して諦めてしまうのは、あまりにもったいないことです。
私たちは、一つひとつの品物に宿る歴史や技術、そしてお客様の想いを汲み取り、その価値を正しく評価することをお約束します。
広島市中区、東区、西区、南区、安佐南区、安佐北区、安芸区、佐伯区はもちろん、広島県内全域で出張査定も承っております。
遺品整理や生前整理、大掃除などで出てきた「これ、どうしよう?」と思うお品物がございましたら、処分される前に、ぜひ一度私たちにご相談ください。
査定は無料です。
専門道具の価値判断は、「見た目の古さ」だけでは決められません。
特に刃物類は、適切にメンテナンスされていれば、使用感があっても高い価値を持つことが多いです。
「古いから価値がない」と決めつけずに、まずは専門家の目で確認することをお勧めします。
上八丁堀エリアでの遺品整理も、一つひとつの品物を丁寧に査定いたします。お気軽にご相談ください。
お客様からのご連絡を、心よりお待ちしております。